せきぐちの議会報告
( 2020年11月 )
 

●金沢副知事に渡した令和3年度当初予算編成に対する重要政策提言

金沢副知事に渡した令和3年度当初予算編成に対する重要政策提言

金沢副知事に渡した令和3年度当初予算編成に対する重要政策提言



 現在、世界中で新型コロナウイルス感染症が蔓延し、これまで当たり前と考えてきた生活そのもを見直す必要に迫られています。そのためにも県の役割は非常に重要であり、令和3年度においは、新型コロナウイルス対策と、元の通りに戻すのではないポストコロナ社会を見据えた当初予編成が必要になると考えます。

 第1に、さらなる感染に対応した新型コロナウイルスへの十分な対策を講じることが必要と考えす。PCR等の検査体制の拡充、症状に応じた入院病床の提供、軽傷者・無症状者を療養する宿施設の拡充、ワクチンの確保、公平な配分方法の決定など、今後さらに深刻化するかもしれない感染に備えた新型コロナウイルス対策を進めることが必要と考えます。また、やむを得ない場合は緊急事態宣言の発出が再度必要とは考えますが、全面的な活動自粛を避けながら、いかにきめ細かく経済のかじ取りを進めていくかも重要と考えます。

 第2にこのような新型コロナウイルス感染症へ県民の関心が集中する中で、残念ながら議論されことがあまりありませんが、人類にとって、より危機的で早急な対策が必要である気候変動に対て、早急な対応を進めることが必要と考えます。

 今年度、新型コロナウイルス感染症の蔓延による経済活動の減少によって、世界での二酸化炭素出量がいったん減少することが見込まれていますが、これがもと通りに戻ってしまうことは避けければなりません。ヨーロッパを中心にグリーンリカバリー(緑の回復)が提唱されていますが、新型コロナウイルスから回復する上において、元に戻るのではなく、失われた雇用を新たな分野で出し、脱炭素社会を一気に推し進めるグリーンリカバリー(緑の回復)を進めるべきと考えます。

 令和2年度には兵庫県地球温暖化対策推進計画の見直しに合わせて気候変動の長期的な戦略が計画に盛り込まれることになっています。最低限、IPCC特別報告書が求める2030年45%削減の達成と2050年ゼロエミッションを目指し、これまでの枠組みを超え、脱成長シナリオ、少子化、一人当たりエネルギー需要、総需要の削減、消費の削減、肉食、食品ロスの削減、ライフスタイルの変革等にも踏み込んだ、広範囲で網羅的で野心的な推進計画の見直しを期待していますが、令和3年度は、この推進計画を達成するための活動を具体的に進めていくにあたり、非常に重要な開始年度にあたるため、県民の危機意識を醸成し、全力で脱炭素に向けた行動を開始するよう、県として気候非常事態を宣言した上で、進めていくことを求めます。

 第3に、新型コロナウイルスの影響により税収の減少も見込まれる中、新型コロナウイルスへの対応とポストコロナ社会の体制づくり、及び、それと合わせて、気候変動への取り組みの観点から新型コロナウイルス感染症の発生以前、また、地球温暖化対策推進計画見直し前に策定した、兵庫2030年の展望とリーディングプロジェクトの基本的な施策、事業について、内容、優先順位を再編成すべきと考えます。

 第4に安心安全な県民生活のために継続して取り組んでいくべき施策、事業については、着実に進めていくことが必要です。

 以上の4つの観点から、重要な施策として以下の項目を提案します。知事におかれましては、令和3年度当初予算編成にあたり、これらを最大限に取り入れ、その実現を目指す県政を推し進めていかれるよう、強く申し入れます。

1.新型コロナウイルス感染症対策

(1)検査体制のさらなる拡充と適正化
 今後、さらに深刻化の恐れがある感染状況の拡大に対応して、公的機関だけでなく、民間の検査機関や各地域の医師会等を活用したPCR等の検査実施可能数の拡充、予防的措置として無症状の対象者に対する検査の実施、保険が適用されない場合、高額となっている検査価格の適正化等、検査体制のさらなる拡充と適正化を行うこと。

(2)医療提供体制の整備
 同じく、さらに深刻化の恐れがある感染状況の拡大に対応して、病状に応じた入院病床数の確保と設備・体制の整備、軽症者・無症状者を療養する宿泊施設の拡充、患者を振り分ける運用の確実な実施、効果的な治療方法の確立、ワクチン開発を踏まえたワクチン数の確保、公平な配分方法の決定を行うこと。

 (3)医療従事者、介護従事者、エッセンシャルワーカーへの支援
 新型コロナウイルス感染のリスクの中で、県民のために日々尽力している医師や看護師、介護士などの医療・介護従事者、保育士、宅配便の配達員や運送業者・郵便局員などの流通に従事する人、スーパーやドラッグストアなどの小売業に従事する人、公共交通機関で働く人、ゴミ収集を行う人など、社会的な機能を維持することに尽力している人々に対して、モチベーションが維持できるよう、その日々の活動をさらに支援すること。

 (4)きめ細かいポストコロナ社会を見据えた経済対策、支援策の実施
 新型コロナウイルスの感染状況をきめ細かく把握し、ピンポイントでの営業自粛と補償策をセットにして取り組む等、経済への影響を最小限に抑え、出来る限りの経済活動を継続するため、きめ細かい対策を講じること。また、あらゆる業種、企業を無条件に、また、元に戻るために支援するのではなく、ポストコロナ社会を見据えた業態転換、新たな分野での雇用創出を可能にするために支援すること。

 (5)新型コロナウイルスの影響による生活困窮者への支援
 新型コロナウイルスの影響により職や住む所を失った正規社員、非正規社員、アルバイト、フリーランス、自営業者等の人々に対しての経済的支援、住居の支援、また、新たな雇用につながるための支援を継続して行うこと。

 (6)芸術文化関係者への支援
 芸術文化関係者も今回の新型コロナウイルスによって、イベントがキャンセルされ、大きな影響を被っています。しかし、芸術文化は人々の生活に潤いを与え、豊かな社会のために欠かせないものと考えます。新型コロナウイルスにより厳しい状況が続く中で、芸術文化関係者の活動をなんとか維持し、新型コロナウイルス収東後の活動につながるよう、必要な支援策を講じること。

 (7)東京圏一極集中の是正と東京圏からの移住の推進
 新型コロナウイルスによって、人口が集中する東京圏で社会生活を送ることに脅威を感じ、移住を考える人が増えていると考えます。また、リモートワークが進展する中で、より住環境の良い所への移住を検討する人も増えていると考えます。このような状況において、東京圏一極集中を是正するため、東京圏から:兵庫県へのさまざまな層の移住の促進をさらに強化すること。

2.気候変動対策

(1)ポストコロナ社会構築におけるグリーンリカバリー(緑の回復)の考え方の施策・事業への反映
 現在、世界的に新型コロナウイルスが蔓延している中で、その回復のための社会経済対策として、以前のように戻るのではなく、失われた雇用を新たな分野で創出し、脱炭素社会を一気に推し進めるグリーンリカバリー(緑の回復)が、ヨーロッパを中心に提唱されています。7月に行われたポストコロナ社会の提言において、気候変動の問題がまったく触れられていないのは非常に残念でありますが、県においては、気候変動の長期的な戦略を盛り込んだ兵庫県地球温暖化対策推進計画の見直しと実行、また、新型コロナウイルスから回復し、ポストコロナ社会を構築する上において、グリーンリカバリー(緑の回復)の考え方を施策、事業に反映させること。

(2)兵庫県地球温暖化対策推進計画の見直しに基づいた実行
 令和2年度において、2023年に見直すことになっていた、2030年までの兵庫県地球温暖化対策推進計画を2020年(令和2年度)に前倒しで見直すことになっています。令和3年度時点では、2030年までに残された期間は9年しかありませんが、2050年までの長期的な戦略につながるこの9年間が地球温暖化の対応として決定的に重要な期間と考えます。最低限IPCCが1.5℃特別報告書で掲げている2030年45%削減の目標を達成するため、これまでの推進計画の枠組みを超え、脱成長シナリオ、少子化、一人当たりエネルギー需要、総需要の削減、消費の削減、肉食の削減、食品ロスの削減、ライフスタイルの変革等にも踏み込んだ、広範囲で網羅的で野心的な推進計画の見直しを期待していますが、令和3年度において、見直された地球温暖化対策推進計画を県民に大々的に周知徹底し、最大限のパワーで実行していくための方策を講じること。

(3)2050年までの気候変動の長期的な戦略の県民への周知
 2020年度(令和2年度)中に見直し予定の兵庫県地球温暖化対策推進計画に2050年度までの気候変動の長期的な戦略を盛り込むこととされていますが、2050年度にはゼロエミッションを実現するビジョンと広範囲で網羅的で実効性のある戦略となることを期待しています。令和3年度において十分な準備を行い、2030年までの地球温暖化推進計画周知の際には、同計画に盛り込まれている2050年までの長期的な戦略についても県民に大々的に周知すること。

(4)気候変動危機に関する教育の実施
 気候変動の危機的状況については、既存の環境教育では残念ながらあまり触れられておらず、十分に県民に理解されているとは言えない状況と考えます。そのため、気候変動の危機的状況と深刻度、そのために必要な行動を小学校、中学校、高等学校、大学のそれぞれの状況に応じて、分かりやすい教材を用意し、教育すること。また、社会人に対しても、生涯教育の一環として、気候変動危機に関する教育を行うこと。

(5)気候変動非常事態の宣言
 2050年までの気候変動の長期的な戦略を盛り込んだ兵庫県の2030年までの地球温暖化対策推進計画が見直された時点として、県民の気候変動に対する危機意識を醸成し、県民が必要な行動を開始するためにも、現時点で令和3年度が兵庫県として気候変動非常事態を宣言する最も適切なタイミングと考えます。令和3年度において、十分な周知啓蒙策を準備した上で、気候変動非常事態を宣言することを強く求めます。

3.兵庫2030年の展望とリーディングプロジェクトの見直し
 新型コロナウイルスの影響によって、税収の減少が見込まれるとともに、ポストコロナ社会として、それ以前と異なるビジョンが必要と考えます。また、同時に、気候変動に対しては、2030年に向けて地球温暖化対策推進計画が見直されますが、その対応は兵庫2030年の展望やリーディングプロジェクトに劣ることはない県における最優先課題と考えます。以上の観点から、新型コロナウイルス感染症発生以前、また、推進計画の見直し以前に策定された兵庫2030年の展望とリーディングプロジェクトについてポストコロナ社会の社会づくりと地球温暖化対策推進計画と整合性を取るよう内容と優先」―直位を抜本的に見直し、再編成すること。

4.安心安全な県民生活のための施策、事業の着実な実行
 最後に、安心安全な県民生活のための施策、事業として、特に以下の内容を着実に進展させ、実行すること。

総務関係
(1)少子化対策の推進
 第二期兵庫県地域創生戦略では、合計特殊出生率の維持、及び、婚姻数が管理指標となっていますが、一方で、県はひようご子ども・子育て未来プランにおいて2020年から2024年の5年間の出生数18万人を目標としています。新型コロナウイルスの少子化に対する影響を中間指標や最終的な出生数の観点から早期に状況を分析し、適切な対応を考えるとともに、この2020年から2024年の出生数目標値18万人を達成するための方策を着実に講じること。

(2)防災対策の推進
 地球温暖化の進展に伴って、大雨や洪水などの異常気象が多発するようになっており、今後もさらなる発生が予想されますが、新型コロナウイルスの感染に十分に配慮した避難所対策、備蓄対策、避難行動要支援者に対する支援を進めるとともに、災害が発生した際には、的確な避難勧告、避難指示の判断を行い、県民に周知することが出来るよう、十分な対策を講じること。

健康福祉関係
(1)介護基盤の整備と介護人材の確保
 今後の後期高齢者の増加に伴い、県の要介護等認定者数は2030年には41万人と2015年比で42%の増加が見込まれ、また、介護人材の需要は2025年には約20万人と、2015年比で36%の増力ロが見込まれています。また、介護施設等についても、2030年にはかなりの不足が見込まれています。兵庫県老人福祉計画に基づく進行管理によって、介護基盤の整備と介護人材確保に関して、市町ごとの進捗や課題、どの程度深刻なのか、足りていないのか、遅れているのか、また、新たな課題が発生していないかをタイムリーに把握し、その状況を議会や県民に情報提供するとともに、介護基盤の整備と介護人材確保を着実に進めること。

(2)三田市民病院と済生会兵庫県病院の統合推進
 現在、急性期医療の分野で三田市民病院と神戸市北区の済生会兵庫県病院との連携を進めるため、神戸市を交えた3者による会議が設けられ議論が進められていますが、県のこれに対する対応は、それぞれの地域医療構想調整会議における医療機関の自主的な取り組みを基本とし、関係者の合意のもと医療機関の再編統合や病床再編などが行われるのであれば、国からの直接の助言等が行われる「重点支援区域」選定に向けた申請を行うほか、医療介護推進基金などを活用し、積極的に支援を行っていくと理解しています。この三田市民病院と神戸市北区の済生会兵庫県病院との連携を進めるための、神戸市を交えた3者による会議の進捗に基づいて、県としても積極的に支援すること。

(3)六甲山北側への救命救急センターを持った災害拠点病院の設置
 県保健医療計画によると2025年には阪神北地域では「高度急性期」の病床数が不足すると推計されており、救急医療の需要は今後とも高まるとみられていますが、六甲山の北側に救命救急センターが1つもない現状では、神戸市北区をはじめ、隣接する三田市や近隣の市町においても、今後高まると思われる救急医療の需要に十分にまた迅速に対応できない状況にあると考えます。前述の三田市民病院と済生会兵庫県病院の統合の検討を踏まえながら、六甲山北側への救命救急センターを持った災害拠点病院の設置、あるいは、その機能を持たせることの検討をすすめる進めること。

産業労働関係
(1)Alへの対応
 ATの導入が様々なプロジェクトや事業において進められる中、その導入に際しては、プライバシ一とセキュリティ、説明責任と透明性を適切に確保した上で慎重に進めること。また、Alの雇用、働く人への影響を常に把握分析し、影響を受ける職瞳に対ナる雇用転換、教育への支援を行うこと。働く人への影響を常に把握分析し、影響を受ける職瞳に対ナる雇用転換、教育への支援を行うこと。

農政環境関係
(1)家庭農業の支援
 国連は世界の飢餓撲滅と天然資源保全に関して家族農業が大きな可能性を有しているとして、2014年を国際家族農業年と定め、また、小規模・家族農業の役割と可能性を再評価し、支援に乗り出すための啓発活動を展開し、2017年12月の国連総会で2019年〜2028年を「家族農業の10年」にすることを決定しました。日本の低い食料自給率と農業における高を「家族農業の10年」にすることを決定しました。日本の低い食料自給率と農業における高い高齢化率は非常に大きな課題であり、これに対して、現在の農業政策は農地の集約化と規模拡大に向けた構造改革をより徹底し、企業の農業生産への参入を促進するための規制改革が中心となっていますが、家庭農業は県において担い手として、農村の維持において非常に重要な存在であり、兵庫県においても、家庭農業が持続可能になり、食料自給の重要な役割の一部を担うよう、十分な施策・事業を講じること。

(2)楽農生活の推進
 県は県民がより積極的に食や農に親しみ、理解を深める機会を増やすとともに、持続的な活動を行える「楽農生活」の実践の拡大を図るとして、兵庫楽農生活センターによる実践の場の提供、市町やJAによる地域楽農生活センターの開設支援、田舎暮らし楽農生活応援事業の実施、市民農園の整備、楽農学校事業の実施などの施策を推進されています。これらの取り組みは将来的に発生する可能性のある食糧危機にも対応し、より多くの県民が自給できるようになるためにも非常に重要な取り組みで、実践する県民や対象となる市民農園の数など、現状よりもはるかに多くの目標値を設定し、より大々的に進めていくべきと考えますが、引き続き、県民の農への積極的な関わりの推進、農を支える交流・定住の促進にかかわる事業を積極的に進めていくこと。

建築関係
(1)地球アトリエ構想の推進
 三田市在住で、世界的な美術家新宮晋氏が温めてきた「地球アトリエ」構想の検討が進められていますが、私もこの構想が進展することを大いに期待しています。令和2年度に実施された建築設計に基づいて、令和3年度からの工事が進められていくと考えますが、新宮晋氏をはじめ関係者の意見を反映しながら、この事業を着実に進めていくこと。

(2)オールドニュータウン再生
 県はこのオールドニュータウン再生の取り組みを県下に広げるため、「兵庫県ニュータウン再生ガイドライン」の普及啓発を図るとともに、郊外型住宅団地再生先導的支援事業などの活用促進により、地域や市町が実施するニュータウン再生に向けたさらなる取り組みを支援していますが、三田市においても、フラワータウン、ガーデンタウンという2つのオールドニュータウンが存在します。オールドニュータウンに関する明舞団地やその他先駆的な取り組みを活かし、三田市においても積極的にオールドニュータウン再生への取り組みを進めること。

文教関係
(1)教育格差の解消
 収入の格差が教育の格差へと繋がっている中で、新型コロナウイルスの影響によって、収入が減少している世帯も多いと思われます。このような状況においても、すべての子どもが適切な教育の機会を得ることができるよう、収入の状況に応じた就学支援、授業料免除・補助、返済の必要のない奨学金の提供などのさらなる支援制度の拡充を行うこと。

警察関係
(1)さらなる検挙率の向上
 刑法犯、及び、重要犯罪・重要窃盗犯の検挙率とも兵庫県内においては、着実に上がってきていると考えますが、今後とも多発するさまざまな犯罪において、検挙することは非常に重要と考えますので、さらなる検挙率の向上に努めること。

以上

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